DSC_0395

ようやく秋田で講演ができました。
これで残すところ、福井県のみ。
そうすると全国を講演して回ったことになります。
2005年の8月からはじまった全国行脚。
今年で13年目に入ります。
予定ではもっと早く47都道府県を回れると思ったのですが、なかなか…

当初「フリーター・ニート予防」をテーマとしていましたが、
次第に「自己肯定感を育む」に移り変わりました。
そして最近ではそこに「食育」的要素が入ることもあります。
それというのも、こんな体験をしたからです。

ある教育困難校でのことです。
その高校は偏差値的にいうと40ありません。
中学校までに勉強をする習慣が身に付かなかった子どもが多く通う学校です。
能力ではないのです。
集中して学ぶ習慣がないのです。

それでも講演のはじまりは「聞こうかな」という雰囲気に満ちていました。
しかし時間の経過とともに、生徒たちのからだが…
ふらふらして後ろを見たり、からだを支えきれずガクっと前に倒れたり、ぺちゃくちゃ…
ああ、なかなかきちんと聞けませんね、ということで終了。

講演後に控室で学年主任の先生と意見交換しました。
私は自分の園での食育について話しました。

 「うちの園には調理場が3つあるんですよ。白砂糖はありません。
  てんさい糖か高級本みりんを煮切って甘みとします。
  砂糖をたくさんとると血糖値が乱高下して、情緒が安定しないんですよね~」


するとその先生の顔色がパッと変わりました。

 「実はトリイ先生、うちの生徒、朝からコーヒー牛乳1リットル、
  ストローで飲んでます。昼は午後の紅茶500mlガブ飲み。
  夕方は部活の後でコーラ一気飲み。一日砂糖漬けです!」


私の考えは確信に変わりました。
いくら心で「きちんとしよう!集中して取り組もう!」と考えても、からだが…

名称未設定 2

今まで私は、脳科学や心理学のトピックを活用して

「脳が変わる → 行動が変わる」

と話してきました。
それで満足していました。
しかしその高校の生徒たちも、少なくとも講演の最初は「きちんと聞こう!」と考えていたのです。
しかしからだが言うことを聞かない。

だから最近は、

「食事が変わる → 腸が変わる」

をその上に加えました。
今、脳のMRIの画像を見ると、その人の腸内細菌叢の分布がわかるそうです。
脳と腸はつかがっているのです。

しかし、もしかしたら高校生では遅すぎるのかもしれません。
実は腸内細菌のバランスは幼児期までに基礎ができてしまいます。

名称未設定 3

生後3,4時間くらいにはすでに悪玉菌が増えだし、3、4日目くらいでビフィズス菌などの
善玉菌があふれます(母乳育児の場合)。
幼児期までが勝負です。

だから私は、今年の自分の園の入園式で保護者の方にお願いしました。
「せめて、卒園までにお子さんへお菓子・ジュース(果汁100%ジュースも)お控えください」と。
甘いものは悪玉菌が好みます。
腸内バランスが崩れるのです。
あるいは今話題の「血糖値スパイク」。
健康にも悪いし、情緒が安定しません。
勉強などへの集中力があがらない可能性があります。

今の子どもは、スマホ・SNSにより、ただでさえ集中力が途切れやすい外的環境にいます。
その上、内部環境(血液)までやられたら…
今後は「腸から考える食育」といった観点での啓蒙も大切と考える次第です。


追伸:
ここまで書いてふと思い出したのですが、あの故スティーブ・ジョブス。
言わずと知れたアップルの創業者です。
若くしてすい臓がんで亡くなりました。
彼はフルータニアン(果物だけ食べる主義)。
それで社名はアップル。
フルーツの食べ過ぎで高血糖になり、高インスリン状態となります。
インスリンはすい臓から分泌されるホルモンで、血糖値を下げる働きをしますが、
細胞を増殖させる働きもあるとか。
それががん細胞の増殖にもつながるという研究があるのです。
過度な糖質は危険ですね。
かといって、今はやりの「糖質制限」にはもっと反対!
カギは「食物繊維」です。