鳥居徹也ブログ (講演記録)

全国講演をビデオで報告します!

全国を講演しているが


実は関西は苦手である。


これでも大阪には4年住んでいた。


関西にはシンパシーを感じている、つもりだ。


ただふりかえると苦い思いは関西が多い。


奈良然り。


京都然り。


大阪然り(もちろんすばらしい思い出も数多いが)。




私の早口関東弁がいけないようだ。


以前、枚方の中学校で講演したとき


その学校の校長先生がおっしゃった。


 

 「トリイさん、この辺ははんなりですわ…」




(はんなり、か…)


私の講演はスライド枚数が多いので


どうしても速射砲のようになる。


特に全国キャラバンスタート当時の2005年はひどかった。


しばしば過去を消したいと思うわけだが


随分恥ずかしい講演もしたと思う。


(当時は必死だったが)




1、2年目は世間(メディア)に向けてしゃべっていた。


3年目は目の前の聞いてくれるみなさんに向けてしゃべっていた。


今は自分自身に向けてしゃべっている。




講演は難しいものだと思う。


実際私も、1年先までスケジュールがぎっしり埋まった4年前の5月、


不安になりいろいろな人に講演する際の心構えを聞いて回った。


(さまざまなアドバイスをいただいたみなさま、かなり時間がたちましたがその節はありがとうございました)




実に多種多様なご意見をいただいたが


1つだけ共通点があった。


しかもたいていそれは


話の最後に軽く付け加えられたのだった。




 「最後は場数だよ…」




バカズ。


確かにそうだ。


バカズに勝るものはない。




全国キャラバンスタート当初はちょうど、フリーター急増が社会問題になっていた。


ニートという言葉もイギリスからやってきた。


そこにそれまで千葉県の高校にてコツコツ「働く意味」をしゃべっていた私が時流に乗った。


それだけだ。




ただ人間は勘違いをする。


毎日のように取材を受けていると、当初とは違う感覚が芽生える。


いわゆる自己拡大だ。




 「このように話せば高校生に『働く意味』が伝わりますよ」




という意図で書いた小冊子が出発点だったが


なんだか変な使命感がくっついてきた。


でなければあんなに講演を受けられなかっただろうとは思う。




ちょっと弱みを明かすと私はやや喉が弱い。


これは講師としては致命傷だ。


ひとたびカゼを引けば地獄になる。


それでも講演は続く。


実は全国を回り続けていた頃、


年間の半分くらいは体調が悪かった。


咳がずいぶん続いた。


心配で肺のCTをとったりした。


しかし原因はわからなかった。


結局、無理をしていたのだと思う。




しかし一度も講演には穴を開けなかった。


危ないときもあった。


あれもまた関西。


神戸。


前泊したホテル。


私はほとんど外出はしない。


温泉にも入らない。


気を緩めるとろくなことがない。


かつて沖縄で講演をし、


すぐその後に


長野県を縦断するキャラバンをした際カゼを引いた。


温度差に対応できない身体にとって


湯冷めした状態は危険だった。


あれ以来、決して温泉には入らないようにしている。


ところでその神戸。




ルームサービスでカレーを頼んだ。


12時前に就寝。


しかし突然夜中の2時に目覚めた。


みぞおちが痛い。


体中に悪寒が走る。


下痢と吐き気。


食中毒か?


しかし食べたのはカレー。


しかもホテルのカレー。




結局朝まで一睡もできず。


また水も口にできない。


出たら困る。


そのまま昼の講演会場へ。


神戸市民のみなさん対象の90分の講演だった。


あとで熱を測ったら38.5度だった。


フラフラになりながら声をしぼった。


肛門もしぼった(失礼!)。


講演終了後、かなり長い質疑応答も行った。


そしてそのままバタン・キュー。




しかしこうした




 「バカズ」




が今の私の支えとなっている。


どんなときでもしゃべる。


どんな状態でもしゃべる。




私の仕事場はたいてい学校の体育館になる。


一般に、


体育館の音響はよくない。


音がこもることが多い。


当初は音質ばかり気になった。


しかし今は気にならない。


音声がこもる環境での講演はそれなりのコツがある。


腹筋を強く使って


言葉(音声)を切るように吐き出すのだ。


マイクに声をぶつける、とでもいおうか。




 「パッ、パッ」




というイメージだ。




それから…今でも立派な会場などで


講演前の講師紹介プロフィールが読みあげられるとき


(しかもそれはかなり立派な枕詞がついていたりする)




 「これはいったい、誰のことだろう??…オレか?」




と認識した途端、ちょっとゾッとすることがある。


会場にいるみなさんの顔がはっきりと視界に入ってくる。


よく見ると、なにやら私に敵意を感じているようだ。


(そんな風にも見えてしまう)




そこまできたらあとは自分自身に話しかけるだけだ。


(大丈夫、今までバカズを踏んできたのだから…)


そうして今も全国を回っています。




先日の四條畷北高校さんでも


ちょっと覚悟して臨みました。


大人と違って、高校生はその場にならないとリアクションがわからない。


評判がいい高校でも対面すると実際は…ということはたくさんあった。




が…いやはや、すばらしい生徒さんたちでした。


「覚悟して」というのは彼らが最後の3年生で


来年の3月に廃校になるということだったので。


廃校になるということは


地元の評判も悪くなり、中学生が集まらなくなり…という悪循環があったはず。


千葉県でもそうした例をたくさん見てきた。




私の講演はテーマがテーマなので


依頼先は教育困難校が多い。


だから時にあぶなっかしい場面も多々あった。


私は柔道場での講演はお断りしている。


かつてプロレス会場のようになった経験があるからだ。




大都市の高校と地方の高校は随分違う。


東京や神奈川の学校はかなり大変なところがあると思う。


えらそうに書いてしまったが


同じテーマで数百回もしゃべっていると


いい加減、私の技術も安定する。


もちろん、当初は違った。


講演がうまくいかないと




 「オレが悪いのかな…」




と帰りの電車の中で自分を責めていた。


反省は大事だが、


現状認識はもっと大事だ。


「バカズ」を踏むうちに学校の姿がよく見えてきた。


私の中のデーターベースが一杯になってきたわけだ。




結論として思うのは


生徒さんの講演を聞く態度は偏差値とは関係ない。


先生たちがいかに生徒に関心を向けているか次第だろう。


かわいがられている生徒は大人に心を開く。


四條畷北高校然りだ。


確かに個々の顔をよく見ると


若干、恐い顔がいた(失礼!)。


でも目は生きている。


私の方を真剣に見つめている。


(ゴールデン・ウィーク明けの、午後開始の薄暗い体育館の中にあっても!)




私の講演内容には批判も多い。


特にサヨク系の人には嫌われている。


しかたがない。


私は教育現場で予防を説く立場だ。


将来のことを話しながら


今何をすべきか、


今何に備えるべきか話している。




 もっと悲惨な現実を話すべきだ。


 社会が悪い、経営者が悪い、政治が悪い、結局今の世の中が悪い。




そうした流れで行くとつまるところ、




 「生まれた時代が悪かった」




ということになる。


しかし高校生はこれから生きていかねばならない。


何か希望がなければ前へ進めない。


そんな高校生に少しでも何か参考になればという思いが私にはある。


現場の先生方の中には困っている人もいる。


こうしてまたキャラバンは続く。


このブログはそんな記録を綴ったものである。


更新は不定期になるでしょうが、


どうぞよろしくお願いします。








4月の東京は暑かったので


沖縄は寒く感じた。


前泊したホテルにて、布団を被っていた。


鼻かぜをひいてしまった。




翌日読谷(よみたん)高校。


全体で1,000名ほど。


現地エージェントのみなさんと行動した。


ありがとうございます。




生徒への講演終了後、


PTAのみなさんと有志の先生方への講演。


その後、


校長先生、PTA会長はじめ先生方と懇親の場。


私は2年前にお酒をやめたため、ウーロン茶にて失礼した。


お酒をやめると


人生の半分くらいの何かを失う。


私はそれを良しとしたが。




翌日は糸満高校のPTAのみなさんへの講演。


この日も気温はやはり低めだったが


日差しは完璧だった。


光と影のコントラスト。


目に強く印象付けられた。




ちょっとした光景が残るのだ。


薄暗い店内から眺めた通りの喧騒、街並み。


例えばすばらしい風景を記録に残そうとしてもそれは難しい。


あんな狭いファインダーでは捉えきれない。


むしろカメラは切り取ることで


些細なパーツをパノラマに拡張できる。


だから旅の記録は瞬時に感じた切片を頭に残すのみ。


それでいい。


それがいい。














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